◆厚生年金保険の目的
  厚生年金保険は、民間の会社などに勤務する労働者の老齢、障害または死亡について保険給付を行い、労働者およびその遺族の生活の安定と福祉 の向上に寄与することを目的とする社会保険制度です。(厚生年金法 第一条より)

<申請・届出などの手続きについて >
公的年金制度で必要な各種の申請や届出については、保険料を支払っている間に発生する各種手続きと、年金を受給申請するときに必要な手続き、
年金を受給後に必要な手続きなどがあります。 なお、各年金によって必要書類などに違いがある場合があります。

【厚生年金の各種手続き】
保険料を支払っている間の、厚生年金の各種届出について紹介します。
項目 ケース 届出・申請書名 添付書類 提出期限 提出者
加入者・資格喪失
退職後個人で加入を続けるとき
厚生年金保険第4種被保険者資格取得申出書、厚生年金保険高齢任意加入被保険者資格取得申出・申請書 厚生年金の場合は、基礎年金番号通知書、年金手帳または厚生年金保険被保険者証 20日以内厚生年金は6か月以内(高齢任意加入は期限無し)
被保険者だった人
年金
手帳
年金手帳をなくしたり破ってしまったとき
年金被保険者再交付申請書 そえられるときは基礎年金番号通知書、年金手帳(年金証書) できるだけはやく
被保険者(事業主経由)
基礎年金番号を複数もっているとき
基礎年金番号重複取消届 すべての基礎年金番号通知書、基礎年金番号記載の年金手帳(年金証書) できるだけはやく
被保険者(事業主経由)

扶養者
被扶養者に異動が
あったとき
被扶養者(異動)届 年金手帳 5日以内
被保険者(事業主経由)
被保険
被保険者の氏名・
住所がかわったとき
被保険者氏名変更届 基礎年金番号通知書または
基礎年金番号記載の年金手帳
できるだけはやく
事業主
被保険者の住所がかわったとき
厚生年金保険被保険者住所変更届 年金手帳 できるだけはやく
事業主
裁定請求(年金受給の申請をする時)
公的年金制度の受給は、年金を受ける資格ができたとき自動的に支給が始まるのではなく、自分で年金を受けるための手続きを行う必要があります。
この手続きを「裁定請求」といいます。老齢年金の受給年齢が近づいたときや、障害年金・遺族年金を受給するときは、自分で暫定請求を行いましょう。

【適用事業所】
厚生年金保険制度が適用となるのは、次のいずれかに該当する事業所(会社)です。
■強制適用事業所
 下記に該当する事業所(会社)は、必ず厚生年金保険制度を適用しなければなりません。
○農林水産業、サービス業等一部の業種を除いた個人事業所で、常時5人以上の従業員を使用している事業所
○1人以上の従業員を使用している国または法人(公法人、私法人を問わずすべての法人)の事業所
 上記の通り、法人化している会社はすべて加入が義務付けられていることになります
■任意(包括)適用事業所
○上記の強制適用事業所以外の事業所
 事業主が、従業員の2分の1以上の同意を得て、都道府県知事の認可を取得し適用事業所となることができます。
 任意適用事業所になれば同意しなかった人も全員が強制加入となります。なお、任意適用事業所は、被保険者である従業員の4分の3以上から
 脱退の同意を得れば、厚生年金保険制度から脱退することもできます。

【加入者】
厚生年金保険の加入者とは下記の人たちです。
 ○上記の適用事業所に使用されている70歳未満の人
 ○日雇労働者(1か月以上勤務する場合は加入します) etc
  様々な条件により厚生年金加入に該当する方がいますので、社会保険庁に問い合わせてください。
 ※パートタイマーでも、所定労働時間や勤務日数が一般社員の4分の3以上の場合は、被保険者とすることになっています。
  ※2006年9月現在の内容です。規定変更などにより内容が変更となる場合があります。

【厚生年金の保険料】
  厚生年金保険の保険料は、月収や賞与に対して、保険料が決まる総報酬制によって保険料が徴収されます。つまり、毎月の月収と賞与(ボーナス)に 共通の保険料をかけて計算されます。なお、保険料率は毎年9月に1000分の3.54ずつ引き上げられます。
 保険料は会社が半分を支払い、個人が残り半分を支払う「労使折半」となっているので、個人の給与から差し引かれるのは、半分ということになります。

【年金の給付の種類】
公的年金制度には以下のような給付の種類があります。
・国民年金と厚生年金の給付の種類
年金給付の目的 国民年金 厚生年金
老後の生活を安定させるための年金 老齢基礎年金
老齢福祉年金
老齢厚生年金
特別支給の老齢厚生年金
被保険者が死亡したときに
遺族に支払われる年金
遺族基礎年金
遺族厚生年金
中高齢寡婦加算
被保険者が障害を受けたときに支給される年金 障害基礎年金
障害厚生年金

【老齢基礎年金(国民年金)】
原則として65歳から受け取ることができます。
受け取るためには、国民年金の納付期間や免除期間およびカラ期間(合算対象期間)と、厚生年金に加入していた期間を合算し、25年以上の期間が
必要です。国民年金保険料を納めた期間や免除を受けた期間によって受け取る年金額は異なります。
また、老齢基礎年金は、60歳から減額された年金の繰上げ支給や、66歳から70歳までの希望する年齢から増額された年金の繰下げ支給を請求することもできます。詳しくは社会保険庁に問い合わせてください。

【老齢厚生年金(厚生年金)】
老齢厚生年金は、サラリーマンなどが、上記の老齢基礎年金に上乗せして受け取ることができる年金です。
老齢基礎年金の繰上げや繰下げ支給をしている場合については社会保険庁に問い合わせてください。

【特別支給の老齢厚生年金】
男性は昭和24年4月1日以前、女性は昭和29年4月1日以前に生まれた人が、60〜65歳の間に受け取る年金です。生年月日によって
段階的に支給開始年齢が異なります。

【障害基礎年金・障害厚生年金】
■障害基礎年金(国民年金)
 国民年金の被保険者が障害を負い、障害等級1級、2級に該当する場合は障害基礎年金が受給できます。
 障害の程度による定額制で、金額は下記の通りです。
<支給額>
・障害等級2級の場合:年額794,500円
・障害等級1級の場合:年額993,100円
18歳未満の子どもがいる場合(障害児は20歳未満)は、2人目までは1人につき228,600円、3人目以上は1人につき76,200円の「子の加算」が加算される。

■障害厚生年金(厚生年金)
 ケガや病気の初診日が厚生年金保険の被保険者期間中で、そのケガや病気により、障害等級1級、2級に該当した場合、障害基礎年金に上乗せして 支給されます。3級の場合は障害基礎年金は支給されませんが、障害厚生年金は支給されることになります。3級よりも軽い障害が残った場合には、障 害手当金が一時金として支給されます。
<支給額>
・障害等級1級の場合:(報酬比例の年金額)× 1.25+配偶者の加給年金額(227,900円)
・障害等級2級の場合:(報酬比例の年金額) + 配偶者の加給年金額(227,900円)
・障害等級3級の場合:(報酬比例の年金額) ※最低保障額 594,200円
※2006年9月現在の内容です。規定変更などにより内容が変更となる場合があります。

【遺族基礎年金・遺族厚生年金】
■遺族基礎年金(国民年金)
 国民年金に加入中の人や、国民年金の保険料を払い終わった60歳以上65歳未満の国内に住んでいる人が亡くなった場合に、18歳未満の子をもつ妻 や、両親のいない18歳未満の子などに支給されます。
 老齢基礎年金をすでに受給していた人や、受給資格の要件を満たす人が亡くなった場合にも支給されますが、死亡した人について保険料納付済期間 (保険料免除期間を含む)が加入期間の3分の2以上あることが条件となります。
<支給額>
・年額794,500円+子の加算(第1子・第2子各228,600円、第3子以降各76,200円)

■遺族厚生年金(厚生年金)
 遺族厚生年金は、サラリーマンなどの厚生年金の加入者が死亡した場合に、上記の遺族基礎年金に上乗せして、
 遺族が受け取ることができる年金です。
 ただし、下記に当てはまり一定の要件を満たした場合に、被保険者に生計を維持されていた家族(配偶者、子、父母、孫、祖父母のうち最優先順位者) に支給されます。
○厚生年金保険加入中に死亡した場合
○厚生年金保険の被保険者期間に初診日のある病気やケガで初診日から5年以内に死亡した場合
○1級または2級の障害厚生年金の受給権者が死亡した場合
○老齢厚生年金の受給資格者または受給資格期間を満たした人が死亡した場合

■中高齢寡婦加算
 厚生年金保険に加入していた夫が一定の要件を満たして死亡した場合、妻の年齢が35歳以上65歳未満であれば、妻が40歳から65歳に達するまでの 間、遺族厚生年金に上乗せして支給されます。また、妻が35歳未満であっても夫の死亡当時に子がおり、かつその子が18歳に達した時点で妻が35歳 を超えている場合は支給されます。
 遺族基礎年金を受給している間は支給が停止されます。
<支給額> 596,000円
※2006年9月現在の内容です。規定変更などにより内容が変更となる場合があります。
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